<#15:読書の思い出2「ライトノベル」>
前回記事では「赤毛のアン」についての話をした。
その後、ハリーポッターを当時出ていた分まで読んだのが中学生の頃だ。
確かアズカバンまでだった気がする。
そして、高校進学を皮切りに僕の読書遍歴に新たなページが追加されていく。
読書だけにね。おもしろ。

身の程もわきまえず進学校へ行ったわけだが、図書室の蔵書量が中学校の比ではなかった。
様々な種類の本に加え、ライトノベルの品揃えも大変充実していた。
当時はラノベ黄金時代。ハルヒやドクロちゃん、半月、ゼロの使い魔なんかが発売された頃。
あとはシャナとかまぶらほとか。9S好きだったなぁ。ああ、イリヤも好きだった。
これまでの本にないポップで可愛らしい表紙が僕の琴線に触れる。
スパロボをきっかけにオタク趣味に傾倒しつつあったためか
可愛い表紙に可愛い挿絵が気になってしょうがなかったわけだ。大体いとうのいぢのせい。
そんなこんなで高校生活の、特に前半はラノベばかり読んでいたのだ。

今回の記事では当時好きだったラノベについていくつか話をしたいと思う。
まずは「キノの旅」。僕が初めて読んだラノベでもある。
・・・いや違った。初めて読んだラノベは「スレイヤーズ」だった。
とはいえ、ラノベをラノベとして読んだのは「キノの旅」なのだ。
本作は、主人公・キノが相棒であり乗り物であるモトラド・エルメスと共に
様々な国を訪れ、独特の文化に驚いたりその中で起こる事件を解決したりする短編集だ。
短編ごとに繋がりがあったりもするが、基本的には1話完結の形式なので読みやすい。
作中に出てくる固有名詞のセンスに感嘆したりもしたものだ。
今でもスゴイなと思う。銃器を「パースエイダー(説得者)」と置き換えるセンスなんかは。
短編によって読後感も異なり、様々なテイストの物語が詰まった本である。
そういう部分に魅力を感じている人も多いだろう。
だからこそ未だに続刊が出るし、2回もアニメ化だってしたわけだ。
短編集という形式の本が好きな理由として、キノの旅から受けた影響は大きい。

次は「ムシウタ」。訪れた書店で表紙買いした1冊であった。
1巻の表紙の詩歌がメチャクチャ可愛かったんだ。(表紙デザインリニューアル前)
「自分の夢と引き換えに、様々な能力を手にする"虫憑き"」という設定にのめり込んだ。
中二心がくすぐられたとも言える。
望むこと無く能力を手にしてしまった少年少女の辛く哀しい戦い。
その中でも自分の夢を思い出して必死に奮い立ち、全てから解放されるために戦い続ける。
全15巻の長編小説になるが、中盤は1冊ごとの主人公が違ったりもして
終盤へ近づくにつれて登場人物たちが集結していくような展開は、この作品に限らず熱いよね。
ただこの作品。思い入れもあるけどすんごい黒歴史もあって
「ムシウタが好きすぎて文芸部の会誌に二次創作小説を載せた」なんてことがあった。
いやぁ恥ずかしい。8割オリキャラで、ムシウタの舞台設定を利用したただの恋愛小説だったし。
以前さざんが運営していたサイトに寄稿した、からくりサーカスの二次創作小説はいつでも公開するけど
このムシウタ小説は・・・マジで公開したくない。ていうかもうデータないし。会誌どこやったっけ。
同化型、分裂型、特殊型という虫のタイプ分けや火種、異種、秘種という能力のカテゴライズ。
そして能力の危険度や戦闘力を表す「~号」という表記は
ドラゴンボールから続く「戦闘力」の概念を想起して胸が熱くなる。数値化ってマジ良いよね。
少年漫画的な楽しみ方も出来ると思うので、完結して久しい作品だが是非手にとってもらいたい。

角川スニーカー文庫である「ムシウタ」の話をしたが
当然、「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズも読んでいる。前述の通り当時はラノベ黄金時代であった。
書店のラノベコーナーへ行けば、様々な可愛い女の子の描かれた表紙が所狭しと平積みされていたが
その中でもやはりいとうのいぢの絵が描かれた表紙は、一際目を引いた。
半ば吸い込まれるように手にとって、レジへ持っていったのを覚えている。
そして「スニーカー大賞受賞作」という触れ込みに違わぬ面白さも備えた作品であったと言えよう。
その面白さに影響されすぎて、ハルヒの自己紹介をもじった自己紹介をして盛大に滑った。黒歴史だ。
ハルヒの話をする際には必ず「長門有希」というキャラクターに秘められた戦略性の話をすることにしている。
というのも、長門有希はとある社会現象にまでなったアニメの某キャラクターを意識した作りだからだ。
それは「新世紀エヴァンゲリオン」の「綾波レイ」である。
長門有希は、少々乱暴な言い方をさせてもらえば「量産型綾波」の1人であり
僕が考える限りその最高傑作であるといえるのである。
そう。長門と綾波は共通点が多い。
・人ではない
・無口なクール系
・主人公グループにおける立ち位置
・ショートヘア
・名字が旧日本海軍の艦船名
多数の「量産型綾波」が本家の綾波レイを意識しつつも相違点を設けて差別化をしていた中で
長門有希というキャラクターについては、意識的に寄せて作られているように感じたのだ。
個人的にであるが、その象徴が「長門」という名字なのではないかと考えている。
昨今では旧日本海軍の艦船名は、オタクの嗜みと言えるほどまで周知されていると思う。
畑は違うが、お笑いの世界において「ダウンタウン」の大ブレイクにあやかって
コンビ名に「ン」を入れるのが、売れるジンクスであるとされているように
キャラクターの名字に「旧日本海軍の艦船名」を設定するのがヒットのジンクスであると言われている。
(艦これの大ヒットに伴い、艦船名が周知されてしまってその傾向は減ってきたが)
このジンクスの発端も、僕の知る限りではエヴァである。
おそらくだが長門有希というキャラクターを生み出す際、作者である谷川流(敬称略)は
「新たな綾波レイを生み出そう」とまで考えていたのではないかとまで、僕は考えている。
エヴァと照らし合わせると、ハルヒはアスカで朝比奈さんはシンジをモチーフにしてるんじゃないかとも思う。
古泉はカヲル君なんじゃないかな・・・?
キョンは違ってて、多分ギャルゲーの主人公がモチーフだと思う。
ここまで考えるとハルヒシリーズは「再構成されたエヴァのチルドレン達が登場するギャルゲー」
と、形容できる作品とも言えるかもしれない。筆がノッた末に出てきた仮説に過ぎないが。
アニメの話になるけど、ハレ晴レユカイはめっちゃダンス練習したし、God knowsは狂ったように聴き続けました。
京都アニメーションの技術力、表現力の凄まじさを目の当たりにしたのは、ハルヒのアニメが最初でした。
Pray For Kyoani.

「塩の街」ひいては「有川浩(敬称略)」についても書こうと思う。
有川浩という作家名ではピンと来ないかもしれないが
「図書館戦争」「フリーター、家を買う」「三匹のおっさん」などの作品名を出せばわかるだろう。
そんな有川浩のデビュー作が「塩の街」だ。電撃文庫より発刊された。そう。ラノベだ。知ってた?
まあ、電撃文庫から発刊されたのはこの「塩の街」だけで以降はハードカバー本だ。
余談になるが「塩の街」も出版社側はハードカバー本で発刊したかったらしいが
電撃小説大賞の大賞を受賞したため、電撃文庫から出ることになったそうな。
後に大幅な改稿をしたハードカバー版が発売している。余談終わり。
ある日突然飛来した塩化ナトリウムの巨大な結晶。視認することで体が塩になるという被害が相次ぐ。
それを「塩害」とし、日本の都市機能は壊滅状態となってしまう。
本作はそれから数ヶ月が経過した日本。人目から逃れるように暮らす秋庭と真奈。
塩害によって起こる悲劇を、そんな2人の目線で描く作品だ。脱獄囚の話はかなりキツイ。
直接的な関係は無いが、後に発刊される「空の中」「海の底」と合わせて「自衛隊3部作」と呼ばれている。
この3作に共通しているのが「得体の知れない何かが現れて、それを巡って起こる人間ドラマ」という点だ。
ありえない状況の中で出てくる人間の本性みたいなのが、妙にリアル・・・と言えるのかな?
そんな中でも主人公は状況の打破を第一に動く、ヒロイックな描かれ方をされており
醜い本性を顕わにする登場人物の行いで溜まったストレスが、主人公の行動で浄化される。
一種のスカッとジャパンだ。やはり主人公のカッコいい行いというのはスカッとする。
そして「得体の知れない何かが現れて~」の部分につながるが、作中の設定は独特な着眼点だ。
発想の転換とも言えるのかもしれないが、著書の舞台設定は「有り得ないけど有り得そう」だ。
「図書館戦争」シリーズはその辺りが非常に顕著なのだが、描かれているテーマは「表現規制」だ。
そんなテーマを描くと考えると、僕は「規制の波でレジスタンス的に戦う作家たち」って感じにするだろう。
逆立ちしたって「メディア良化委員会に対抗するために、図書隊と称して図書館が武装する」なんて設定は出ない。
そんな変化球じみた設定を強固に作り上げ、直球で描写する技術と表現力は凄まじい。
そんな「図書館戦争」シリーズは、映画化までされる大ヒットとなった。
作中で登場する「レインツリーの国」という架空の小説は、後に有川浩本人によって執筆、刊行されている。
・・・あ、これも映画化されてるんすね。今知った。
有川浩という作家の特徴として、僕は「とにかく読みやすい」ことだと捉えている。
ラノベ出身だからなのかはわからないが、文章がスルスルと入っていくのだ。
個人的には、有川浩の著書がヒットした要因としての大きな1つであると思っている。
あとは前述の「人物描写がリアル」という点と「有り得ないけど有り得そうな設定」。
それらの要素が、独特の魅力的な世界観を生み出しているのだろう。
有川浩の著書から遠ざかってしまって久しいが、この記事を機にまた本を手に取るのもいい。アナタもいかが?

有川浩の話が思ったより長くなってしまったが、次で最後にする。
「ある日、爆弾がおちてきて」僕が一番好きなラノベだ。
時間をテーマとしてボーイ・ミーツ・ガールを描いた短編集で
その中の「むかし、爆弾がおちてきて」という話を読んだ時の感情がもう、すごかった。
昔起こっていた戦争にて投下された爆弾の爆心地にいた少女。
その凄まじい威力は時間を圧縮し、彼女の周囲の時間の流れがほぼ止まっていた。
(この辺のメカニズムはなんというかノリで理解してほしい)
しかし少女はそんな「時間の檻」の中で生きている。
時間が止まった彼女を中心として「戦争を忘れない」的な記念碑とされている世界。
主人公は、そんな彼女の恋人であった祖父の孫である。
戦時中「駆け落ちしよう」と約束していたが、怖気づいて逃げた末に前述の爆弾が投下されたのだ。
そんな祖父の悔いを聞いた主人公のとった行動とは・・・? というあらすじだ。
好きな1冊というか、この話が本当に大好きなのだ。結末の先を考え出すと止まらなくなる。
幾度かの引越しで当時買い集めていたライトノベルはあらかた処分してしまったが
これだけはずっと所持し続けている。
高校生の頃、何度も読み返して色々と思いを馳せたあの時の記憶をいつでも思い出せるように。

僕のラノベとの付き合いは決して長いものでは無かった。
しかし黄金時代と言えたあの頃を、最前線で楽しめたのは幸運だった。
すっかり今のラノベ業界には疎くなった。「なろう系とかそういうの?」くらいの認識しか無い。
昔を振り返って、ひっさびさにラノベの表紙買いをしてみるのもいいかもしれない。

そういえば、僕が南乃さざんという男(当時は別名義だったが)を知ったのは
とあるラノベ原作アニメの、こんな動画からだった。